若者が集まるベイサイドカフェ『人気の秘密はオーナー夫妻のホスピタリティにあった!』

どうも、編集部あいりです。
今回取材に訪れたのは、以前から気になっていたアクセサリーショップ&カフェを営むoffshore(オフショア)

なぜ気になっていたかって、まずこの外観が不思議でしょ?
見た目は倉庫…「本当にここがカフェ?」と、一瞬目を疑う光景です。
地元民である私は初めてお店の存在を知った時「あんな所に!?」と衝撃を受けたほど、
町の公園や団地、船着き場に囲まれた場所に馴染む倉庫が「offshore」なんです。

重厚なドアを開けると、まず出迎えてくれるのはアクセサリーを製作する作業場
「クラフトマンの聖域」といったクールな雰囲気に、思わずドキッとしました。

「あれ…?来る場所を間違えたのかな?」と辺りを見渡すと、
二階へと案内してくれる看板がすぐ目に付きました。

階段を上ると…これまた衝撃!開放感のあるカフェスペースがお出迎えです。

目に飛び込んでくる、キラキラと輝くアクセサリーの数々。
女性にとって、まさしく『テンションの上がる空間』とは、このこと。

「こんにちは~」と、とびきりの笑顔で声をかけてくれたのは寺内 恭子(てらうち きょうこ)さん
出迎えてくれた恭子さんの優しい雰囲気が、またまた私の心を癒してくれました。

次に「いらっしゃいませ」と、爽やかに声をかけてくれたのは寺内 健二(てらうち けんじ)さん
海が似合う爽やかな雰囲気で、とっても気さくな方でした。
アクセサリーの製作とカフェで提供するお料理は、全て健二さんの職人技が光る賜物です。

offshoreは健二さん・恭子さんご夫妻で営んでおり、
和歌山発のアクセサリーブランド「Petit Peri(プティ ペリ)」の実店舗にカフェを併設しています。
元々大阪を拠点に活動していたお二人ですが、和歌山県の海で趣味の水上バイクを楽しんでいたことがきっかけで湯浅町のことを知り、大好きな海に囲まれた場所でお店を構えようと決めたそうです。

元「しらすの加工場」として使われていた倉庫を、5年半かけてリノベーションしたお二人。
なんと解体から設計・建築まで、ほぼ全て健二さんが一人で手掛けたというから驚きです。 
5年半の間で何度も試行錯誤し、「居心地の良さ」を追い求めて現在の空間を作り上げました。 

5年半かけてリノベーション!「お客様と育てるカフェ」を目指して

魅力的なお二人の経歴やお店作りについて、寺内ご夫妻にインタビューしてみました。

5年半かけてリノベーションしたとお伺いしましたが、その過程で一番苦労した作業はどの部分ですか?

やはり解体ですね。
写真のように、元の倉庫は物が散乱していて、浴槽やトイレも残されている状態でして…。
更地にするまでが一番大変でした。
土壁だけで4トンありましたからね…。それをハンマー1本で解体したんです。

大変な作業ですね…。前職は建設関係のお仕事をされていたんですか?

難しい質問ですね…。(笑)
前職は「よろずや」というか、色んな職種を経験してきました。
溶接工に始まり、築炉屋(ちくろや)、左官工などの仕事もしましたね。
スノーボードのインストラクターも務めていました。

幅広くお仕事をされていたんですね!
溶接工での経験が現在のアクセサリー製作に活かされたり、大工や左官工の経験がリノベーションに活かされたりと、全てが今に繋がっていますね。

そうですね。無駄な経験は一つもなかったと思います。
人のご縁や環境に恵まれながら濃い十数年を過ごしたおかげで、
現在の店づくりとアクセサリー販売に辿り着いたという感じですね。

現在から以前の職業に至るまで、「ものづくり」が健二さんのキーワードになっているように思うんですが、やはり既存のものを買うより作る方がお好きなんですか?

好きというか…変なこだわりですね。(笑)
この空間に合う家具が欲しいけど、市販の家具だとジャストフィットしないから作ってしまえ!という感じで、作る方が性に合ってるんですよね。
カフェスペースのテーブルも、幾つか納得のいくサイズが見つからなくて、
結局自分で作ったんですよ。

なるほど!想像通りのものを作る技術があるから素晴らしいですよね。
アクセサリーも健二さんの「作りたいもの」だったんですか?

アクセサリー自体は彼女(恭子さん)が独自のブランドを立ち上げていたこともあり、その中で彫金をしたい!という想いがあり、賛同して造り始めたんですが。
昔、古着屋でアルバイトをしていた時に、ウォレットロープやウォレットチェーンを製造していたのもあって、僕自身も興味があったんです。

アパレル関係のお仕事もされていたんですか!?本当に経験豊富ですね!
その頃の経験も現在に活かされているんですね。
アクセサリーのデザインは恭子さんが担当しているんですか?

デザインは二人で作りたいイメージを擦り合わせることもあれば、お客様の声や海外のトレンドにインスパイアされて作ることもあります。

そうやってアクセサリーのデザインを考案されているんですね。
ちなみに、お料理の経験も元々あったんですか?

飲食店で働いた経験はないんですが、父親の実家が漁師だったので、幼い頃から魚の仕立てはよくしていました。

そうだったんですね!
Instagramでよく「ケンジ君の飲食の師匠」というワードを目にすることがあるんですが…。
お料理に関して、健二さんの師匠がいらっしゃるんですか?

高野山で精進料理の料理長を務めていた和食の職人と水上バイクの繋がりで仲良くなりまして。
その方が僕に料理のイロハを教えてくれた師匠なんです。

そんな方がご友人にいらっしゃるとは!色んなご縁がありますね。

本当に周囲の方々には助けられっぱなしです。
向かいの漁師さんもよく新鮮な魚を届けてくれますし。有り難い話ですよ。

健二さんが料理を作る上で大切にしていることはありますか?

沢山ありますが、お店に来てくれた大半の人が「美味しい、また来よう」と思ってもらえる料理を提供することですかね。
どちらかというと大衆食堂みたいな、
誰もが共感できる味を求めているのかもしれません。
お店の在り方も「アットホーム」を意識しているんです。
お客様が気軽に「こんな料理食べてみたいな」と言ってくれて、
そんなメニューを実現できるような距離の近さというか。
「お客様と一緒に育てていけるカフェ」で在りたいと思います。

offshoreさんらしいお店の在り方ですね。
健二さんのおすすめメニューはありますか?

看板メニューであるガーリックシュリンプもグリルチキンも食べられる「気まぐれプレート」は一押しですね。
他にも裏メニューとして、上質な豚肉を仕入れた時だけ現れる幻の「ブラックペッパーポーク」もタイミングが合えば食べてほしいですね!
そんな裏メニューもこれからは増やしていけたらと思っています。

毎日身につけたくなるアクセサリーをお届けするために

恭子さんは以前どんなお仕事をされていたんですか?

元々は幼稚園教諭として働いていたんですが、転職してジェットスキーの販売業を経験したのち、百貨店でジュエリー販売のお仕事していました。

ジュエリー販売のご経験をもとに、ご自身のブランド立ち上げに至ったんですか?

そうですね。ジュエリーを販売する中で、私自身が可愛いと思うアクセサリーを造りたいと思うようになりました。
ブランド立ち上げ時から、私の中にある旬のデザインを形にしているので、
昔と今のデザインも全く違うんですよ。
でも、常に大切にしているのは、「ここでしか買えないデザイン」「ファストファッションを着ていても、付けるだけで気分が上がるような」「ワンランク上の着こなしに見えるような」アクセサリーを提供することですね。

ブランド名「Petit Peri」には、どんな意味が込められているんですか?

「小さな妖精に魔法をかけられていつまでもキラキラしてほしい」というコンセプトでブランド名を決めたんです。

可愛らしい意味が込められたブランド名ですね。
恭子さんがお客様にアクセサリーをご提案する上で、こだわっていることはありますか?

お客様の趣味嗜好やニーズをしっかりと把握するために、
お客様とたくさん会話をして仲良くなることを意識しています。
買っていただくからには、その方が毎日身につけたくなるものを手にしてもらいたいので、まずはお客様自身のことを知りたいんです。
それに「勧めてもらったから買わないといけない」と、
お客様が気負いしない接客も心掛けています。
「今日は見るだけ」のお客様も大歓迎なんですよ。

恭子さんとお話していると、アクセサリーへの愛情を感じますね。

アクセサリーを販売する時は「わが子を送り出す」ような気持ちなんです。
そんな気持ちで販売しているので、アフターケアにもこだわっています。
例えばピアスを一つ失くしてしまったお客様には、
在庫がある限り片方販売を行っています。
買ってもらうものは一生ものだと思うので、
買っていただいた後のことまでしっかりとケアしていきたいんです。

片方販売してくれるんですか!?それは本当に嬉しいです。
買った後のことまでしっかり考えてくれているお店で買えるなら、
お客様も安心ですね。

offshoreさんは昨年一周年を迎えられたんですよね?

はい。2023年7月8日で一周年を迎えることが出来ました。
一周年記念イベントには沢山のお客様が足を運んでくださって、感無量でした。

最後に、お二人はこれからoffshoreをどんなお店にしていきたいですか?

どんな方でも、この店に来ると「癒されたな」「元気もらえたな」と思って帰ってもらえるようなお店にしていきたいですね。そのために、スタッフ一同、一人ひとりのお客様に合わせた細やかな気配りを心掛けています。

お話を聞いて改めて店頭に並ぶアクセサリーを拝見すると、
一つひとつの作品が個性豊かで、とても愛らしく感じました。

最近の売れ筋商品をお尋ねすると、実際に旬のリングを身につけてくれた恭子さん。
一つでも存在感のあるリングですが、重ね付けすると一気に雰囲気が変わります。

作業場初潜入!アクセサリーが出来るまで

20代の頃はアクセサリーを身につけるのが苦手だった私ですが、
結婚・出産を経て、大人の女性を象徴するようなリングやブレスレットに惹かれつつあります。
子育てや日々の生活に追われるため、ママにはとにかく時間が足りない…。
でも、「Petit Peri」のアクセサリーはそんな女性に優しく寄り添い、癒してくれるパワーがあると思うんです。
独身の頃よりお洒落に気を遣う時間が減っても、パッと光を照らしてくれるような存在のように感じて、お二人が作るアクセサリーを身につけてみたいと強く感じました。

そんな私に声をかけてくれた健二さん。
「今日は取材に来てくれたお礼に、リングを一つプレゼントしますよ。」
と、ご厚意で特別に作業場へ案内してくれました。

恥ずかしながらリングを一度も身につけたことがない私。
アクセサリーを作る工程を見るのも、人生で初めてでした。

好みのデザインを聞き取って下さり、手慣れた様子で作業を始める健二さん。

作業中も材料として使われる鉄や銅についてお話してくれました。
鉄や銅が熱処理と冷却で硬くなったり、柔らかくなったりする様子を
実際に見て・触れる体験をさせていただき、非日常感に胸が高鳴りました。

ものの10分程度でリングが完成し、あまりの速さに驚いてしまいました。
健二さんならではの工程で造るため、一般的な製造工程よりも早く仕上げられるんだとか。
そのため「お客様がカフェタイムを楽しんでいる最中にリングのサイズ変更等を行って、
その方にジャストフィットする商品をお渡しする。」なんてことも、よくあるそうです。
さすが「ジャストサイズ」にこだわる健二さん!お客様も絶対嬉しいですよね。

仕上がったリングを見ると、磨く前と後で変わる艶と質感にびっくり!
光沢感のあるリングは繊細なフォルムなのに存在感があって、
指に付けた途端、自然と笑みがこぼれました。

おわりに

取材を終えて以降、毎日身につけている健二さんお手製のリング。
家事をしていても、身支度をしていても、
不意に目に留まって、その日の気分を上げてくれます。
まさしく妖精に魔法をかけられているようで、不思議な気持ちです。

「来てくれる人が元気になって帰ってくれたら良いな」と、話してくれたお二人。
取材にお邪魔した私は正に、毎日お二人のアクセサリーに元気づけられています。
皆さんも湯浅町にお越しの際は、是非offshoreの美味しいご飯やスイーツと、
お二人の想いが詰まったアクセサリーに癒されてください
ね。